遠目の子鬼
でも、不満を言っても仕方ないので僕は訳の分からない数式と格闘して、何とか宿題を仕上げ勉強机の椅子に座ったまま、うんと伸びをして、大きなアクビをひとつ。


そして開け放した窓から外を眺める。


周りは平凡な住宅街で反対に目印が無くて自分の家の場所が説明しづらい。


コンビニの一つでも有ればいいのだけど。


――闇夜にまん丸の満月。


氷の様な光が部屋の中にも差し込んでくる。


「――寝よう」


僕はそう呟くと、パジャマに着替えてベッドに潜り込んだ。

         ★

「じゃぁ、ここ、中野、答えてみろ」


落胆してみても仕方がない。昨日の宿題が、僕に当たってしまった。
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