遠目の子鬼
お姉ちゃんの言葉が、ぐさぐさと心に刺さる。


本当に大丈夫だろうか…


そう、こんな風に突然自信が無くなるのも自分の悪い癖だと思う。


思うんだけど、それを良い方向に持って行く手段が分からない。


だから、いけない事は分かる。分かるんだけど。


「兎に角、納得行くまで、練習しなさい。練習が一番の自信になるんだから。あんた、出来ない子じゃないからね。私は、あんたの事、信じてるんだから」


お姉ちゃんは、そう言うと言いたい事を全て言って満足したらしい。


近くに有る雑誌を手に取って、ページをぱらぱらとめくり始めた。


そうだよ。


納得行くまで練習する。


これは重要な事だと思う。自信は努力の裏返し。努力した分、それが自信になるんだ。


ぶっきらぼうに話すけど、お姉ちゃんは、僕の事をちゃんと心配してくれてるんだ。


「ありがとう」


僕は心の中で、そう呟いた。
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