遠目の子鬼
宿題を忘れたり間違ったりして無いんだから、そんなに、せかせかする必要は無い筈なのに、僕は足早に席に向かった。


その席に向かう途中、僕はちらっと教室の隅の方に目をやった。


僕の視線の先には「なっちゃん」事、佐藤夏子が静かに座って居た。


彼女は、僕と同じブラスバンド部でクラリネットを担当して居る。


そして、僕が密かに好きな女の子。


彼女は成績優秀で部活でもパートリーダーをやって居てる。


性格も明るくて誰とでも仲良くなれる女の子だ。


僕の男友達に話を聞いて見ても彼女に恋心を寄せる男子は何人か居るらしい。


僕は横目でちらちらと彼女を見ながら自分の席に着いた。


「又兵衛へのお願い事――こっちにした方が良かったかな――」


僕はちょっぴり後悔した。
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