遠目の子鬼
「充実してたよ。自分が好きな事を一生懸命やってるって言う手ごたえが有って。補欠だからってけっして手を抜く事は無かった」


「ふうん…」


「保孝、学校って言うのはね、勉強だけ教えてくれる処じゃ無いんだよ」


「勉強以外の事?」


「そう、勉強以外の事。教えてくれるのは先生かもしれないし、他の人かも知れない。だから、一つの場所にたくさんの人を集めるんだ。勉強だけ教えるなら、極端な話、ネット全盛の世界だし、それを使えば、自分の家でじぶんの都合で好きな事だけ弁よう出来だろ?」


「…うん、でも、それじゃぁいけないの?」


「お父さんは、それはいけない事だと思う。だって、集団生活の中でしか経験出来ない事は有るだろ?礼儀作法とか、友達との付き合い方、遊び方、考え様によっては、そっちの方が重要なんじゃ無いかって、お父さんは思うよ」
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