遠目の子鬼

しかも、その原因が英二だった。


ここに来て、変な…プチスランプ状態に陥ってしまったらしい。


先生の表情も冴えない。英二も同様だった。


「ここは、全体練習が終わってから、良く練習しておく様に、じゃぁ次…」


先生の視線が英二に向けられる。


変な理由は先生には明確に分かるらしい、ここで深く突っ込むより、個人練習で何とかするのが得策と考えたらしかった。


全体練習が終了して各自個人練習の為に音楽室からそれぞれお気に入りの教室に向かって散って言った。


僕も又兵衛と練習するために、楽器をケースにしまって音楽室から出ようとした。


そして何気なく英二の方に視線を移す。


すると彼は酷く落ち込んでいる様な様子に見えた。