遠目の子鬼

3) 切羽詰まって

そして、いつもの教室の入り口に立って、僕はちょっと立ち止まった。


そして扉を開こうとしたのだが、後ろの英二に向かってちらっと振り向くと


「あの、驚かないでね…」


と、念の為、英二にそう告げた。


「何?何に驚くんだ…」


英二の表情がちょっと曇る。


「…い、いや、大した事じゃぁ無いんだけどさ…」


やっぱりちょっと緊張する。何しろ全く未体験の人間を『異次元』と言っても良い世界に連れて行くんだから緊張感も高まって当然だ。
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