遠目の子鬼

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ブラスバンドの全体練習が終わって個人練習に移った処で、僕は、昨日の約束通り、一人で昨日の教室に向かった。


僕は譜面台とユーフォニュームを持って教室の扉を開ける。


「お、来たな――」


そこには昨日の約束通り、又兵衛が一人仁王立ちして立って居た。


「うん、来たよ。で、どうすれば良いの？」


「なぁに、簡単な事さ。何時も通りに練習すればそれで良い」


「何時も通りに？」


「そうだ、何時も通りにだ。今日から俺の前で練習すれば、俺様の力で効果が２倍にも３倍にもなる様にしてやる。そして保孝は時間をかけずに上達するって訳さ」