遠目の子鬼
「子供達?」


「うん、三人居るんだ、ひいとふうとみい。冗談みたいな名前だけど、とっても良い子達だったよ」


それを聞いた英二は、ぴたりと歩を止めて僕を唖然と眺めていた。


「おまえ、又兵衛の家まで押し掛けたのか?」


僕は英二に向かって、くるりと振り向く。


「押し掛けたって表現はちょっと違うけど、行って見て分かったんだ。彼は、特別な人じゃないよ。音楽好きの優しい『おじさん』だよ」


「やさしいおじさん…なぁ…」


「ねぇ、英二、この事は、深く考えるのを止めようよ。又兵衛が何物だって良いじゃぁない。僕達の事を面倒見てくれるちょっと歳が離れた友達だよ。それで良いじゃない」
< 223 / 274 >

この作品をシェア

pagetop