遠目の子鬼
なっちゃんだって不安な処は有るだろう。


誰でもそうだと思う、これだけ追い込まれてしまえば。


でも、なっちゃんは追い込まれる程の不安を覚える程、下手では無い。


まぁ、自分がどう思っているかで話は変わると思う。


でも、なぜ今日なのだろうか…


頭の中で、ぷつんと何かが弾けた様名気がした。


『誕生日』じゃないか。


そうだ、今日は英二の誕生日だ。


小さい頃は、何度も一緒に誕生会をした覚えが有るから間違える事は無い。


待っていたんだ、なっちゃんは。英二が一人で現れるのを。


でも、今日に限って、僕が一緒だった。彼女は多分、英二にプレゼントでも渡したいと思っていたに違いない。


――お邪魔虫――


自分の責任では無い。少なくとも英二と一緒に帰る事は頻繁に有る事だし、今日が特別だという訳では無い。だから僕が罪の意識を背負う事は無いとは思う。


思うのだが…
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