遠目の子鬼
僕はちょっと期待外れに思ってしまった。


だって、昨日の話を聞いた感じだと苦労しないで上達できそうなニュアンスだったのに、やっぱり練習しなけりゃならないんだと言う「がっかり感」僕は又兵衛に聞き返してしまった。


「ねぇ、練習しないで上達出来るんじゃぁ無いの?」


又兵衛は僕の質問を聞くと、仁王立ちしたまま胸の前で両腕を組むと、きっと、僕を睨みつける。


「あのな、全く苦労しないで手に入れた力なんてぇ物はなぁ、全然役に立たないんだ。俺は、上達させてやるとは言ったが、努力なしで上達させるとは、一言も言ってないぜ」


僕は又兵衛の迫力に押されてちょっと後ずさる。


「う、うん、分かったよ。真面目に練習するね」
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