遠目の子鬼
僕は、うんうんと頷いて、答えた。


そして、ふたり揃ってお母さんに視線を移す。


「何、二人で内緒話?」


突然、お母さんの、どアップが目に飛び込んできた。


「うわ!」


お父さんは飛び上がらんばかりに驚く、僕も、ずいっとあとずさる。


「い、いや、別になぁ、保孝」


「う、うん、何でも無い、ね、お父さん」


僕達は、何とか誤魔化そうと複雑な笑顔を張り付けて顔を見合せながら、お母さんから離れようと、ソファーの端に向かってごそごそと動いて行った。

「ふ~ん」
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