遠目の子鬼
お母さんは不敵な笑顔を浮かべると両手を腰に当てて僕達を、じっくりと覗き込んだ。


僕達は相変わらず複雑な笑顔。


「まぁ、良いわ。聞かない事にしてあげる」


お母さんはそう言うと、くるりと踵を返して、キッチンに向かい、再び洗い物を始めた。


「はぁ~~~~」


僕達は、大きく溜息をついた。


「良いか保孝、さっきの話は秘密だぞ」


「うん、分かった」


僕達は秘密を共有する仲間意識が芽生えて、がっちりと握手を交わした。


そしてお母さんの背中を見詰める。


でも、全てバレている様な気がしたのは、お父さんも同じなんじゃないかと思った。

         ★
< 234 / 274 >

この作品をシェア

pagetop