遠目の子鬼
「良いか、英二の事を思うなら」


僕は、ごくりと唾を飲み込む


「…思うなら…」


「何もするな、それが一番の対処法だ」


僕はずるっと楽器を落としそうになった。


「え?」


「だから、何もしない事が英二にとって一番良い事だって言ってるんだ」


僕は、ちょっと考えてから


「…な、なんで?」

と、少し間の抜けた声で又兵衛に聞き返した。
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