遠目の子鬼

「この前、英二に会って感じたんだが、奴はかなりしっかりしている。部長だって言ってたよな。確かに、その器は有りそうな奴だと思う」


僕はその観察力に納得できたので、小さくこくりと頷いた。


「そして、これはあくまで想像だが、夏子も英二の事を嫌いだとは思っていない。いや、むしろ積極的に好きだって思っている筈だ」


僕は、再び頷く。


「という事は、恋愛関係に発展するのは時間の問題だ。二人とも、それを意識しているし、周りもそうなれば良いんじゃないかと思っている節が有る。違うか？」


「う、うん、そうだと思う」


「だから、何もする必要は無いんだ。もし、この微妙な関係が発展する事無く終わったとしたら、それは運命。思い出にするべき事なんだよ」