遠目の子鬼
僕は、何を意味して居るのか良く分からないオブジェにもたれかかって、ゆっくりと周りを見渡した。


何もしない時間…


流れる風、鳥の声、おぼろげな日差し。


それでも日の光は、夏の残り香を主張する様に輝いていた。


ぼんやりとした時間が流れた。


僕は何気無く建物の隅の方に目をやると、そこに人影が有るのに気が付いた。


なっちゃん?


遠くて良く分からないが、見た感じからすると、なっちゃんの様に見えた。


そして、もう一人


英二?


これは、はっきりと分かった。


何時も見慣れたシルエット。ほぼ間違いなく彼の姿だ。
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