遠目の子鬼
うつり行く季節

ステージ

「あ、あのさ、英二…」


僕は妙に卑屈な態度で英二に尋ねた。


「…ん?なんだよ、急に…」


英二の表情がちょっと曇る。


そうだよな、僕の態度は英二の事を思っている様には思えないからだ。


僕は急に自分が嫌な奴に思えて英二の視線を逃れる様にユーフォニュームのケースに近づき音を出す仕草をして見せていた。


その仕草を見て英二は表情を緩ませて、僕に近づいて、僕の横に立つと。あたりをきょろきょろと伺って、僕の耳元に顔を近づけると、小さな声で囁いた。


「さっきの事は、秘密…な」
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