遠目の子鬼
一生懸命練習したのに、こんな結末になるのだろうか。大勢の前で失敗して。そんな事、絶対に嫌だ。


そう思っても、頭に響く心臓の音は、更に大きくなり、気を失いそうな位の緊張で体が、がちがちに固まる。


…もう、ダメだ。


緊張の限界から、ちょっと超えたあたりで、僕の頭の中が、真っ白になった。


――おう、頑張ってるか、保孝


声が聞こえた…又兵衛の声だ。


――リラックス・リラックス。


――そう、言われても…


――大丈夫だ、あんなに一生懸命練習したじゃないか
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