遠目の子鬼
圧倒的な照明の輝き。


それを感じた時、視界が突然開けた気がした。


僕の目の前に観客席が飛び込んでくる。


演奏は無意識にしていたらしい。


そしてソロパート迄もう数小節。


僕は心の中で、大きく深呼吸した。


――迷う事は無い!

その瞬間、心が晴れた。


視界良好だ。


そして運命の小節が訪れる。


僕は静かに息を吹き込む…


場内にユーフォニュームの魅力的な中低音が響く。


皆が僕に注目しているのが分かる。
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