遠目の子鬼
でも、その視線を恐れる必要は全くない。


なぜなら、そう、僕は出来る限りの事を精いっぱいやって来たから。積み重ねの強みだ。ダメな筈は無い。後は運、そうだ、その位、開き直らなきゃならないんだ。


ありがとう、又兵衛


眩しいステージの照明にに照らされて僕一番の見せ場が終わった。


そして曲も終了する。


心地よい余韻。そして称賛の拍手。


最高の出来だったと思う。僕はちゃんと努力して、ちゃんと結果を残せたんだ。心の底から、何かがこみ上げてくる様な気がした。目頭も熱くなりそうだったが、僕は、それをぐっと呑みこんだ。


拍手は鳴りやまない。僕は温かい拍手の渦にうっとりと酔いしれた。そして、中学最後の演奏会を、心の底から楽しんだ。

         ★

演奏会が終了して一週間。
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