遠目の子鬼
「良かったな、保孝?」


又兵衛は何時も通り、偉そうに両腕を組んで、僕をじっと見上げている。


「…うん、良かった…のかな…」


僕の言葉に、又兵衛がちょっと斜に構える。


「悪いと思うのか?」


「え、う、ううん…悪いなんて…」


「そうだろ。悪いと思えなかったら良かったって事だ。保孝は、一生懸命やった。三年間やりぬいた。これは生半可な事じゃ無い、一生自慢して言い事だ」


又兵衛、快心の微笑み。


僕はそれを見た瞬間、頭の中で、何かが、わっと、湧き出すのを感じた。


…涙が止まらない
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