遠目の子鬼
たくさんの生徒達の人生に関わり合って生きてきた。


そして嬉しい結果も悲しい結果も全てを受け入れて僕は歩き続けた。


そして今日、一応の区切りが付けられるのだ。


「おめでとう、そして、御苦労さん」


英二から大きな花束を受け取る。そして硬い握手。


彼は初志貫徹、自分の意思を貫き通して、某オーケストラの一員と成って世界中を演奏旅行してまわっていた。


そして、今日のこの集りの為に、かなり無理をして、日本に帰国していたのだ。


「ほんとうに、御苦労さま」


英二の横に優しく佇むなっちゃんの向日葵の様な微笑みが僕に向けられた。歳を重ねても彼女の笑顔は、とても眩しかった。
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