遠目の子鬼
僕は爽やかな草原の真ん中で楽器を演奏して居る。


聞こえるのは自分の楽器の音と吹き渡る風が揺らす草達の音。


優しい太陽の光が地上一杯に降り注ぐ。


とても気持ちが良い。


何時まででも、こうして楽器を演奏して居たい。そんな気持ちに成る。


「先生に言われた事、忘れるなよ」


又兵衛が僕にそう話しかけた。


そうだ。今日も、いっぱい注意されたんだ。それを忘れちゃいけない。


僕は先生に言われた事を、ひとつずつ思い出しながら集中して楽器を演奏した。


何時もは簡単に出来ない事でも、ここで演奏すると、全部上手く出来る。それが気持ち良かった。


「保孝、周り見てみろよ」


又兵衛が僕にそう話しかけた。僕は、その声を聞いて自分の周りに目をやった。
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