遠目の子鬼
「そうだな、今のお父さんの夢はね…」


そう言いながらお父さんは優しい瞳で僕の頭をわしゃわしゃと撫でた。


そして、にっこりと微笑む。


僕はお父さんの笑顔を見て何だかとても安心できた。


何故なのかは分からない。


でも、とてもあったかくて気持ちが良かった。


そうだ、僕がお父さんの夢なんだ。

僕は少しだけ、お父さんが言った事を理解出来た様に感じた。

         ★

「夢…かぁ」

ブラスバンドの全体練習が終わって個人練習の時間。


今日は、英二と一緒に練習するので又兵衛との練習は御休みだ。


その練習の最中に僕は英二に何となく聞いてみた。
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