遠目の子鬼
英二はトランペットからマウスピースだけを取り外して2~3度息を吹き込むと何かを考えながらぼんやりと答えた。


「うん、英二の夢って何?」


僕の質問に英二は両腕を組んで大袈裟に考える仕草をして見せた。


「その前に、保孝、随分質問の内容が恥ずかしいぞ。まともに答えられないじゃぁないか…」


僕は英二の答にちょっと戸惑った。夢を聞くのは恥ずかしい事なんだろうか。


「僕の聞いた事って恥ずかしい事なの?」


僕はユーフォニュームを膝の上に置いて更に訪ねたが英二は僕の質問に答えたがっていないのが、彼の視線から感じ取れた。


「――まーな」


英二はマウスピースをトランペットに差し込むと、楽器を構えて2~3度息を吹き込んだ。
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