遠目の子鬼
「何が?どうして恥ずかしいの?」
僕の追及に英二の口調があからさまにとげとげしくなる。
「あのな、保孝、日本人てのはな、奥ゆかしさが評価される人種なんだ。だから自己主張は程々にしないと世間のつまはじきに成るんだ」
僕は再び不思議に思ったが英二が立て続けにまくし立てたので、そのまま口を噤んだ。
「いいか、夢ってのは心の底で暖めて人知れず努力して達成するのが日本人の有るべく姿だ。それを軽々しく口にして、いかにも自分は出来ますよなんていうアピールをするってのは、タブーなんだよ、分かるか?」
英二は、びしっと僕の鼻先に人差し指を突き付け、そして沈黙した。
僕の追及に英二の口調があからさまにとげとげしくなる。
「あのな、保孝、日本人てのはな、奥ゆかしさが評価される人種なんだ。だから自己主張は程々にしないと世間のつまはじきに成るんだ」
僕は再び不思議に思ったが英二が立て続けにまくし立てたので、そのまま口を噤んだ。
「いいか、夢ってのは心の底で暖めて人知れず努力して達成するのが日本人の有るべく姿だ。それを軽々しく口にして、いかにも自分は出来ますよなんていうアピールをするってのは、タブーなんだよ、分かるか?」
英二は、びしっと僕の鼻先に人差し指を突き付け、そして沈黙した。