遠目の子鬼
「――う、うん、分かったよ。英二が嫌なら、もう聞かない、ごめんよ」


なんだか自分が悪い事をしたみたいで後ろめたさを感じてしまう。


でも、そんな事感じる必要なんて無い筈なのに――僕は英二の夢が何なのか聞きたかっただけなのに。


そう思って居ると、英二は僕に、くるっと背を向けた。そして、ぼそぼそと何かを言った。


「―――と――け――したい」


全く聞き取れなかった。


「え――なに?英二」


英二はちょこっとだけ振り向き、再び肩越しに答えた。


「――なっちゃんと――け―っこんしたい」
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