遠目の子鬼
「おーい、ひい、ふう、みい、居るか?」


又兵衛が樹の裏側に回りこんで、大きな声で誰かを呼んだ。


「ひい、ふう、みい?」


僕は又兵衛の視線の方向を向いて暫く待ってみた。


すると、樹の蔭から小さな又兵衛が3人現れた。


髪の毛の感じから二人は男の子、一人は女の子らしい。


三人は僕の前に怖々歩み寄ると、僕をじっと見上げた。


「さぁ、三人共、挨拶しなさい」


又兵衛が女の子と思われる子の頭を撫でながら挨拶を促す。
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