遠目の子鬼
「あのさ、人間て俺達の姿が見えないんじゃぁ無かったの?」


更に『ひい』が続けた。


「そうだよ、俺達の姿が見えるんなら、お兄ちゃん、人間じゃぁないんじゃないの?」


不思議そうに僕を見上げる『ひい』


「こらこら、失礼な事を言うんじゃないぞ、保孝はれっきとした人間だ。でも、ちょっと特別で、俺達の姿が見えるんだ」


又兵衛が『ひい』の頭を撫でながら、そう優しく話した。


「ふーん、人間なんだ…」


ぽつねんと立ちつくす『ひい』はまだ納得でき無さそうな表情をしていた。


「そうだ、又兵衛、奥さんはどうしたの?お出かけ?」
< 68 / 274 >

この作品をシェア

pagetop