遠目の子鬼
昨日同様、今日も一日天気が良かった。


そして西日が眩しく教室に入り込む。


そして光が散乱して教室全体がソフトフォーカスに浮かび上がる。


――魔の刻


僕は自分もその光に溶け込んでいく様な錯覚に陥り軽い眩暈で思わずぎゅっと瞳を閉じた。


そしてそれがおさまった処で、ゆっくりと目を開く。


目の前に広がるのは何時もの教室の光景――そして


「……」


言葉が出なかった。


そこには身長が50センチ程度で全身が茶系の肌色、頭に2本の短い角。丸くて大きな瞳に小さな鼻、一言で言い表せば子鬼という表現がぴったりの生き物が、こちらを向いて立って居た。
< 7 / 274 >

この作品をシェア

pagetop