遠目の子鬼
又兵衛はそう言うと、ゆっくりと立ち上がり、部屋の外に姿を消した。


そして暫くして戻って来た手には、お盆が持たれ、その上には五つの小さなカップ。


中には温かいお茶が入れられて居た。


「ほら、保孝、飲め」


又兵衛が僕に小さなカップを差し出した。


僕はそれを両手で受け取り、又兵衛とカップを交互に見た。


「大丈夫だ。ただのお茶だよ。人間が飲んでも問題無い」


「――う、うん、いただきます」


僕はカップのお茶をゆっくりと一口口に含んだ。


味はミルクティーに良く似て居る。癖が無くて、とても飲みやすかった。
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