遠目の子鬼
「だけど保孝、運命って奴も、わりかしいい加減な物らしい」


又兵衛はにっこりと笑みを浮かべる。


「どうやら、俺達が出会ったのは、運命って奴から見れば予定外の事らしい」


「予定外?僕達が会った事が?」


「ああ、そうさ。俺には分かる。神様にでも聞いてみなけりゃ分からんが、これは絶対に予定外だっ」


僕は無性に嬉しくなった。


僕と又兵衛が出会ったのは運命が敷いたレールから離れて自分達だけの世界を切り開いて居る。


それが何だか嬉しかった。


いや、手ごたえと言えば良いのだろうか、そんな気持ちだった。
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