遠目の子鬼
笑顔が自然に溢れて来る。


僕の表情を見た英二は訳が分からないと言う表情で少し引いている。


でも、そんな事、構わない。


僕はユーフォニュームの手入れをしてケースにしまうと、英二の後ろについて音楽室の楽器倉庫に向かった。

         ★

珍しくお父さんが早く帰宅して居て夕食は珍しく家族全員が顔を揃えた。


又兵衛達の家族は、見て居て微笑ましくなるくらい、仲が良い家族だった。


僕達の家族はどうだろう……?


うん、仲が良いに決まってる。


優しいお母さんと、ちょっと喧嘩っ早いお姉ちゃんと僕。


又兵衛の家族に負けないくらい、僕達家族は仲が良い。うん、そうだ。


「保孝、どうしたんだ?」


お父さんに突然話しかけられて、僕ははっとお父さんに視線を移す。


「どうした?何か嫌な事でも有ったのか?」


お父さんは、ちょっと心配そうな表情。
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