遠目の子鬼
子鬼は僕の顔をいぶかしげに覗き込む。


「なんだお前――おれの事が見えるのか?」


子鬼はそう言いながら両手を組んで舐めまわす様に僕をじっくりと見上げた。


「え?う、うん…見えるよ。見えちゃいけないの?」


子鬼はちょっと首を傾げながら相変わらず偉そうに両手を組んで僕に話しかけてきた。


「いけなくはないさ、昔は人間全員が、俺の事を見る事が出来たんだがな。今は、俺が見える人間は数える位になっちまった。変わったよ…人間て奴は」


僕は子鬼の言う事が良く飲み込めなかった。


「変わった?人間が?」


子鬼は腕を組み換えちらっと僕を見ると再び偉そうに語り始めた。
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