遠目の子鬼

「大丈夫だ、保孝。俺と一緒に、ちゃんと練習すれば、恐れる事なんか無いさ。うん、なんか嬉しくなって来たぜ。俺も、当日は行かせて貰うぞ」


又兵衛は、自分の事の様に演奏会で僕のソロ演奏が有る事を喜んでくれた。


うん、心配する事は無い。


何時も通りに又兵衛とみっちり練習して上手くなればそれで良いんだ。


大丈夫、心配する事なんて無いさ。


――でも


内心、ちょっと…いや、かなり不安。


僕に、そんな事が出来るだろうか。


昨年の演奏会では、英二が奇麗にソロ演奏を決めて居た。