遠目の子鬼
わずか数秒の出来事だったけど、僕の心臓は、えらく盛大に脈打った。


そして頬が紅潮して行くのが自分でも分かった。


――そして、なっちゃんの微笑み。


僕も、物凄くぎこちない表情で笑顔を作り、なっちゃんに返した。


そして、逃げる様に廊下に飛び出した。


何だろう…なっちゃんの、あの微笑みは?。


英二の情報網を信じても良いのだろうか?僕は壁にもたれかかって、自分の心臓のあたりに手を当てた。


飛び出してしまいそうな位、どきどきして居る。


足もなんだか震えて居る様な気がする。


僕は大きく深呼吸した。


はあと大きく息を吐き出すと、ようやく落ち着く事が出来た。


そして、何故か周りをきょろきょろと見渡して、今の事を見た人が居ない事を確認してから、又兵衛が待つ教室に向かった。
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