遠目の子鬼
確かに今まで、バレなかったのが不思議な位、無防備で練習して居たから、こんな事に成るのは分かって居た筈。良い訳が出来ない。


しかし、又兵衛は落ち着いていた。


彼女の前にゆっくりと歩み寄り、ゆっくりなっちゃんを見上げた。


不思議な事に、なっちゃんは又兵衛を見ても怯える事も無く、むしろ興味深々と言った感じで又兵衛にゆっくりと顔を近づけた。


「――おまえ、俺の事が見えるのか?」


又兵衛は少し不思議そうな表情でなっちゃんを見上げる。


なっちゃんは、無表情で又兵衛の質問に小さく頷いて答えた。


「ほう、そりゃ珍しいな。保孝も珍しい人種だが、あんたもおんなじだ。いいぜ、こっちに入りな」


なっちゃんは、又兵衛に促されて僕達の世界に足を踏み入れた。
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