遠目の子鬼
友達として

1) 彼女の横顔

そして、取り乱す事も無く、逆に珍しそうに何処までも広がる草原をぐるりと見渡した。


「うっわぁ、綺麗な処ねぇ」


なっちゃんは自分の胸の前で両手を組むと大きな声でそう言った。


そして改めて又兵衛を見て「彼、保孝君の、お友達?」


そう尋ねた。


「う、うん、まぁ、友達…そう、友達だ」


「へぇ、宜しく、私は夏子、佐藤夏子。あなたは?」


なっちゃんに見詰められて、又兵衛が何故か照れて居る。


「お、俺か?、俺は又兵衛だ」


「そう、又兵衛さんて言うの、宜しくね」


なっちゃんはにっこりと笑うと、又兵衛に握手を求めた。
< 97 / 274 >

この作品をシェア

pagetop