白黒先生-二重人格彼氏-

そう決意して、一刻も早くここを立ち去ろうと、男に背を向けて歩き出そうとした。

…その瞬間。

ぐんっ
体が大きく進行方向とは、逆の方向に傾いた。

右手に、強い力を感じる。

え…何…?
この右手の感触は何?

そんないろいろな事を考える暇もなく、あたしはぐるんと右手が引っ張られるまま、後ろを体ごと振り返る。

どうしてだろう。

青空が広がっていたはずなのに、今、あたしの目の前は暗い。

まるで、何かに視界を遮られているような。

すごく近い距離に誰かがいるような…。

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