白黒先生-二重人格彼氏-
「さぁ…知りませんけど、あたしは先生が見てきたような簡単な女じゃありませんからっ!」
あたしは睨むような視線で先生を見る。
『簡単な女』のところを強調して。
「じゃああたし、授業戻るんで。誰かさんのおかげで貴重な時間が潰されちゃいましたし」
嫌味っぽく言ってみせる。
うわぁ、今のあたし、我ながらすごくうざい。
背を向けてドアノブを握ろうとしたとき、背後でポツリと小さく言葉が呟かれた。
「…悪かったな」
「へっ?」
この部屋には二人しか居ないはず。
…ということは、さっき謝ったのは先生だ。
一番吐きそうにない言葉を吐いたのは先生だ。
ソファに座っている先生はいつになく子供っぽくて、しょんぼりしているというよりは、拗ねた子供みたいな顔だった。