白黒先生-二重人格彼氏-

まさかの疑惑



「あのぅ…日向くん居ますかぁ?」


ある日の昼休み、教室のドアから女の子が遠慮がちに声をかけてきた。


わー…美少女…めちゃくちゃ可愛い。


こんな可愛い子が瑛に何の用…って、もしかして。


「はいはーい瑛ですね!? ちょっと待っててください」


隣に居た唯と目を合わせて、ニヤリとほほ笑む。


“女の勘”というものが働いたらしい。


「瑛ー、かわい子チャンがお呼びだよっ」


あたしは急いで机につっぷして寝ている瑛のところへ行き、丸めた教科書で叩き起こす。


「んだよ痛ってぇな…」


「もーいいから行ってっ」


寝ぼけたまま目をゴシゴシ擦っている瑛に構わず、あたしは瑛の背中を女の子の方へと押す。



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