白黒先生-二重人格彼氏-

「何笑ってんだ、気持ち悪ぃな…」


「だっ…だってっ! 瑛の金魚姿…あ、いや…なんでもない」


「俺が金魚? 何だって?」


瑛は眉をひそめて聞いてくる。


瑛と金魚を融合させた姿を思い浮かべてたなんて言ったら、きっと怒られる。


…だから言わないでおこ。



「いやいや何でもないです! …それよりさ、今日一緒に帰ろっ」


「いーけど…唯はどこだよ」


「あぁ、唯なら今日委員会だし」


あたしが言うと、瑛はキョロキョロ見まわしていた首をピタリと止めた。


「…今日は二人…か?」


なぜか、ハキハキしない話し方だ…瑛らしくない。


あたしと二人きりで悪かったね…どうせ、あたしだよ。



「うん」


イヤミも込めて、満面の笑みで返事をしてやった。


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