白黒先生-二重人格彼氏-



「デート…じゃないですけど…」



あたしは苦笑いしながら女の人に言った。


女の人は「ふーん」と返事すると、瑛の方を向き直った。



「じゃあいいじゃん! 彼女じゃないんでしょ? ねっ♪」



そう言いながら女の人は瑛の腕を掴もうとする。


その瞬間、瑛は女の人の手を払いのけると、勢いよく席を立った。



「のわっ? 何っ!?」



瑛はそのままあたしの方へ歩いてきて、あたしの腕をとる。



「コイツ、俺の彼女! …んで、デート中! 見て分かってくださいよ」


へ!? へ!?


『彼女』なんて言っちゃってるけど…それあたしのコト!?



「えーそうなのぉ~?」


「そうだよ。おら、行くぞ」


「ええぇっ」



瑛に腕を引っ張られるまま、あたしは走る。


気が付くと、店の外に居た。


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