白黒先生-二重人格彼氏-

すると目の前の『王子様』は、ふっと優しい笑顔を浮かべた。

吸い込まれそうなくらい深くて綺麗な茶色い瞳が、あたしを捕らえた。


「……おはよう」


その男は何事もなかったかのように落ち着いた声で言った。
声まで、少し擦れてて甘い。

「…え…っ、え…えぇと」

あたしはまばたきをするのも忘れて、呆然と立ち尽くす。

…どう対応すればいいんだろう…??

「君…ここの生徒?」

目を細めて、笑みを絶やさずあたしに問いかける。



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