白黒先生-二重人格彼氏-
「えと、はい…」
あたしがロボットみたいに返事だけをすると、男は「…そう」とだけ言って、あたしに背を向けて何も言わず歩き出した。
コツ、コツ、と革靴とコンクリートがぶつかる音がする。
しばらく進んで、やがてぴたり、と足を止めた男はこっちを振り返った。
「僕もこの学校なんだ、一緒だね」
「あの…えぇと……あんたは…」
もう少しこの人の事を知りたいと思った、よく分からないあたしの気持ち。
そんなあたしの言葉を遮って、男は言った。
「君とはまた会うよ。僕を探してごらん…」
そう言い残して、男は再び歩きだした。