白黒先生-二重人格彼氏-


「お前、驚きすぎ! マジ面白いわ」


「なっ…び、びっくりしたっ…」



振り向くとそこでケラケラ笑っていた、瑛。


右手にスポーツドリンクの缶を持っていたことから、あたしの頬にさっき当たった冷たいモノはこれだったんだな、と推理する。



「ホラよ、飲めば?」



無意識に缶をじーっと見ていると、瑛がスポーツドリンクの缶をあたしに差し出した。



「くれんの!? やった! 今ちょうど飲みたいと思ってたとこなんだよね」



あたしは瑛から缶を受け取ると、早速タブを開けてごくごく飲んだ。


乾いていた喉に、スポーツドリンクがすうっと馴染んでいく。



「ふうん…ま、それなら良かったじゃん」


「うん! もしかして瑛って、あたしの心読めたりして?」


「無茶言うな、アホ」


瑛はそう言って顔をしかめると、あたしの頭を一回ポンと手で叩いた。


< 130 / 162 >

この作品をシェア

pagetop