白黒先生-二重人格彼氏-
「……おい」
瑛が出て行った入り口をずっと見つめるあたしの背中に、遠慮がちな声がかかる。
そんな声にも答えられないほど、あたしの頭の中は混乱していた。
『…誰がこうさせてると思ってんだよ』
瑛の言葉の意味が、理解できなかった。
あの悲しそうな顔も、理由が分からなかった。
何でなんだろう。
頭の中で糸がこんがらがって、気持ちがモヤモヤする。
「…おい……分かったから泣くな」
「へっ…あたし…っ」
顔が涙で濡れていることに気が付いた。
「…見ないでくださいよ」
先生、なんかに泣き顔なんて見られたくない…。
あたしは先生に背を向けて顔を覆った。