白黒先生-二重人格彼氏-


「瑛~…もう、どこに居るのよっ」


瑛が居そうな店を見て回っても、その姿はなかった。


瑛が常連のゲームセンターを出て、次の店に足を運ぼうとしたとき。



「わっ…」



背中から誰かにぶつかられて、あたしは転んでしまった。


持っていたバッグがどさっと地面に落ちる。



「あ~、ごめんねェ」

「そんなとこ居るから悪いんだよォ」


「…あ、いや…あたしもすみません」



いかにもガラが悪そうな二人組だった。


あたしが仕方なく謝ると、男たちはケラケラと笑いながら再び歩きだした。


その途中に落ちていたあたしのバッグを蹴り飛ばしたのは、多分、わざと。


…拾えばいいんでしょ、拾えば…。



そう思って、汚れたスカートを手で払う。



「いたっ…」


膝をすりむいていたのに気が付いた。


赤い血が滲んでいて、ヒリヒリする…。

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