白黒先生-二重人格彼氏-


「瑛は何て言ってたんだ」


「あぁ…『俺はあきらめないからな』って、言ってくれました」



真っ赤っかのリンゴみたいな顔で、そう言った瑛を思い出す。

素直に、嬉しかった。


先生は眉間に皺を寄せ、目を細めた。



「あいつがそんなセリフ吐くなんてな…」


「あっ…あたしもびっくりしましたっ」


「まぁ……ちゃんと伝えられて良かったじゃねぇか」



そう言って先生はニッと笑った。


わ…いつになく子供っぽい。


そんなことを思ったりした



「はいっ」



あたしは満面の笑みで応える。



「…何だよその顔……」


「はい? 何か変でした?」



先生の様子が変なのに気が付いた。


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