白黒先生-二重人格彼氏-


「彼氏でもねぇ男の前でそんな顔するもんじゃねぇぞ、覚えとけ」


「は、はァ……」


よく意味が分からなかったけど、とりあえず頷いておいた。



「じゃあ、お前はもう寝ろ。明日学校で居眠りしないようにな」


「しませんってば!」



あたしが不機嫌そうに言う姿を見て、先生はもう一度フッと笑った。



「…今日はよく頑張ったな。おやすみ」



初めて聞くような、優しくやわらかい声だった。



ポン、と頭に先生の手が乗った。


手が届くほど、先生の家と、自分の家が近かったなんて。


しょうもないことを実感したりして。



先生が、褒めてくれた。


いっつも強引で口悪いくせに……こういうの、ズルイ。


先生も優しいとこあるんだなぁ…。


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