白黒先生-二重人格彼氏-
「残りの一つは……なぜ僕がキス、したかですよね?」
な、なんで分かるの!?
あたしは誰かに後ろから驚かされたみたいに、びくっと反応する。
動揺が隠しきれない。
やっぱり、覚えてたんだ…あの日、あたしにキスしたこと…。
「お、教えてください…っ」
喉から声を振り絞って言った。
「それは……」
男はあたしの方に一歩、二歩と近寄ってくる。
自然に身構えて、戦闘態勢をとってしまう。
「…っ!?」
男の少し骨ばった長くて細い指が、あたしの右頬に触れた。